2.灰ばらい【R-18】

「うんうん。似合うで、薫ちゃん!」
「へへぇ、実は一回着てみたかったんです、コレ」
店で揃えた前掛けに身を包むと、薫はくるんとひとまわりした。妙に施された薄化粧を鏡で確認すると、燕から受け取った盆を構えて、『いらっしゃいませ』と気取ってみる。
いつも生活している空間とはちがう西洋風の内装が、余計に薫の心を浮き立たせていた。首都にあっても、まだまだ珍しい欧羅巴風の貴賓館と、前掛けだけとはいえ普段とは違う服装は、少女の変身願望を満たすのに十分だ。
「うんうん。やっぱり薫ちゃん、元がええよ。道場が立ち行かなくなったら、いつでもウチの店に来てぇな!」
「……妙さん、さりげなく縁起でもないこと言わないでくださいね」
「あ、あの! お箸の用意が足りなくて……! か、薫さん、こっち一緒にお願いしていいですか……!」
笑顔のまま凄む薫に、燕は必死で話しかけて気を逸らそうと試みる。初仕事の要請に、薫はぱっと表情を切り替えて燕の後についていった。
「こちらは五人席なので、お鍋の用意はふたつです」
「じゃ、取り皿五つと、予備が二枚。ええと、お野菜はこっちで……」
「あ、薫さん。しらたきとお豆腐は別なんです。野菜にお水がしみちゃうので……」
「あ、はい! ごめんなさい」
「い、いえ、そんな……!」
燕の指示に従って、薫は席の準備を進めていく。普段当たり前のように店で食べている牛鍋の席に、こんなきめ細かい下準備があったことに、薫は心ひそかに舌を巻いた。
「うーん、大変なのねぇ、お店の準備って。これを毎日何十回もなんて、尊敬するわ、燕ちゃん」
「妙さんたちが、丁寧に教えてくださいますから。それに、今日は椅子席なので、立ったり座ったりがない分、ずいぶんと楽なんです」
にっこりと答えながらもてきぱきと動く燕に、薫は感心を深める。支度を始めて三十分足らず。すでに、百人分はあるかという席の半分の支度が終わっていた。
「わたしも、お料理がんばらなくちゃなぁ。剣心に甘えてちゃいけないって、分かってはいるんだけど……」
「剣心さん、すごいですよね。あんなに家事が上手な男の人って、わたし見たことありません」
「そうなのよねぇ。だからって、わたしがやらなくていいかっていうと、そういうわけにもいかないんだけど……ついつい……」
「でも剣心さん、楽しそうです」
「そうね、そうかも」
出会った頃から、そつなく家事をこなす人ではあったけれど。ここ最近、剣心はとみに家事を楽しんでいるように見える。
それはたぶん、ひとつの場所を誰かと作り上げる喜びを、剣心が迎合しているからだ。言ってみればそれは、巣作りをするつがいの動物の幸福感だ。剣心が自覚しているのかどうかは、分からないけれど。
「薫殿、燕殿、こちらはすっかり準備が整ったようでござるな」
「剣心さん。厨房のほうはどうですか?」
「ほとんど終わったでござるよ」
「ここって、お台所も西洋風なんでしょう? 照明や花飾りだって見たことないくらい……」
「ご機嫌でござるな、薫殿」
「ふふっ。見て、剣心! 赤べこ特製前掛け。妙さんがわたしにも……」
「ああ、動きやすそうでござるな」
普段どおりの笑顔でそう答えた剣心に、薫は一瞬言葉に詰まった。それから、何事もなかったように燕を手伝い始めた剣心を見て、薫は前掛けの裾を持ち上げていた手を下ろした。
「……分かってたけどね、べつに……」
ぽつりと呟くと、薫も準備の続きにかかる。のろのろと薫が箸を並べていると、威勢のよい声が剣心めがけて飛んできた。
「緋村さん! ネギもうちょっと刻んどいてくれ! それが終わったら、豆腐の湯通しな!」
「は、はい! た、ただいま参るでござるっ……」
追いかけてきた声に、剣心が慌てて厨房へ取って返す。残された薫と燕は、顔を見合わせて噴き出した。
「ぷっ……! 弥彦が『ついでだから剣心も手伝え』って引っ張ってきたんだけど。しっかり役に立ってるみたいね」
「い、いいのかなぁ……。剣客さんなのに……」
「いいんじゃない? かたちはどうあれ、人の役に立ってるわけだし」
さばけた調子でころころと笑う薫に、燕は苦笑する。たすきがけで厨房を走り回る最強の剣客に、料理下手でお人好しの剣術小町。まったく奇妙な取り合わせだ。
けれど、二人がいつも笑っていることを知っているから。男と女の寄り添う形はいろいろなのだな、と燕は子ども心に得心した。
「燕、薫! そっち終わったら、役割確認するから集合しろってさ」
「弥彦くんたちのほうは、終わったの?」
「ああ、今やっと全部運び込んだところだ。そうだ、薫!お前は酒だけを運べよ。料理にはいっさい手を触れるんじゃねーぞ」
「どーいう意味よ!」
「そのまんまの意味だ。お前の手には、普通の食材を毒に変える特殊能力があるからな」
「人の手を毒手みたいに言うな!」
へへんと逃げていく弥彦に、薫が怒声を浴びせる。激昂する弥彦と薫をなだめるのに、燕は今日何度目かの勇気を振り絞ることになった。

「薫ちゃん、十二卓、お銚子三本お願いな!」
「は、はい! ただいま!」
「燕ちゃん、三卓こぼしたみたいや。布巾持ってたって!」
「すみません、剣心さん! 濡れ布巾ください!」
「し、承知仕った!」
宴が始まれば、裏方は戦場だ。華やかな貴賓室とは裏腹に、厨房では赤べこ従業員一同が上へ下へと動き回っていた。水を得た魚のように、妙がきびきびと指示を飛ばす。指令を受けて、薫と燕があくせくと駆けずり回る。
「剣心、さげたお銚子、ここに置いとくわね! 妙さん、四卓、人が入れ替わったみたい。新しい取り皿とお箸お願い!」
「はいな! 薫ちゃん、これ持ってき!」
阿吽の呼吸で妙から取り皿と箸を受け取ると、薫はぱたぱたと厨房を出て行った。落ち着きのない薫の動きを心配した妙が、あわてて声をかけようとする。が、会場への入口手前までくると、打って変わって薫はしずしずと歩き始めた。そのまま宴会場へ消えた薫の背中を見送って、妙が感心したように腕を組んだ。
「なかなか堂に入ってきたなぁ、薫ちゃん。初仕事がこんな大所帯やさかい、ちぃっと心配やったけど。取り越し苦労やったわ」
「薫殿はもともと、不器用なわけではござらんよ。台所仕事はとにかく、裁縫などはなかなかの腕でござるし」
同じく薫の背中を見送っていた剣心が、にっこりと断りを入れた。とたんに、妙の目にいたずらな光がともる。
「こら、えらいごっそさん」
「お、おろ……」
うろたえる剣心とからかう妙の隣で、弥彦がやれやれと腰に手を当てる。戻ってきた薫を見て、弥彦は独り言のようにつぶやいた。
「そりゃ、役に立たねぇよりはずっといいけどよ……」
「あ、弥彦! ちょうどいいわ、そろそろ七卓のお肉がなくなりそうなの。厨房の人に伝え……」
「薫! お前、ここに来た目的、覚えてんのかよ!」
「え? ……あ!」
「……今思い出しただろ、ぜったい」
「そ、そんなこと……」
あさっての方向を見て半笑いになる薫に、弥彦は『やっぱりな』と首を振った。視線をそらしながら、ぼそぼそと薫が言い訳する。
「だ、だって……人が多すぎて……どこにいるのか……」
「いいから、卓拭くフリでもしながら、会場一周してこい! じゃなきゃ、何しに来たのか分かんねぇだろ」
「わ、分かったわよ……」
弥彦に渡された盆と布巾を携えると、薫はふたたび会場へと出て行った。卓上を拭くふりをしながら、きょろきょろと目的の人物を探す。が、ものの数分で薫は絶望的な気分になった。
ただでさえ百人近くの人間が動き回っているというのに、彼らはひっきりなしに席を入れ替わったり、会場を出入りしたりしているのだ。この状況で人ひとりを探し出すのは、『とても難しい』と『至難の業』のだいたい中間くらいに位置する行為なのではあるまいか。
なかば悲壮な気持ちにすらなりつつ、薫は重い足取りで会場を回遊する。
「嬢ちゃん、どないしたんや。明日この世が終わるみたいな顔して」
「……? どこかでお会いしたことありましたっけ……?」
背の高い洋装の男に、薫は聞き返した。着崩したシャツにひっつめた長髪を背中に垂らしたその男の姿に、見覚えはない。だが、男の声と西訛りは、どこかで聞いた覚えがある。
「切ないこと言いなや。ワイやワイ」
ひとつに束ねた長い髪をつかんで、男は頭の上に立てて見せる。とたんに、薫の記憶と男の容姿が一致した。
「あなた、十本刀の……!」
「張や、張。久しぶりやな」
「びっくりしたぁ……。京都で会ったときとは、全然ちがうんだもの……」
「ははは、自慢の髪型や。変える気はまったくないけどな。こういうときや、不本意やけど仕方ないわ」
髪を下ろした張の変化を、薫はまじまじと見つめる。しばらくそうした後で、思い出したようにぺこりと頭を下げた。
「あ、あの……その節はお世話に……!」
「オウ、ホンマに世話やったわ。東京と横浜、何べん往復したか分からへん。つーわけで、貸し、返してもらうで」
「それが……見つけられなくて……」
「なんや、つれないなぁ。一度ヤリあった仲やっちゅーのに」
「おかしな言い方しないでください!」
「ま、冗談はさておき。案内したる。こっち、来ぃや」
悠々と人波を泳ぐ張の後ろを、薫は追いかける。時おり、すれ違う客と挨拶すらかわす張の如才なさに、薫は呆れながらも感心した。
主賓席近くでいくつかの輪を作っている女学生たちを、張は遠目で覗き込む。ひとつめの輪には、目当ての人物はみつからなかった。
「こっちやないみたいやな。ほしたら、あっちを見……どした?」
「あ……い、いえ! 綺麗だなぁって……」
照れたように笑う薫の視線の先には、よそ行きの洋装に身を包んだ女学生たちがいた。肩を大きく出したり、腰の線がくっきりと浮かんでいたり。日ごろ、薫が着慣れている和装とはずいぶん違った服装だ。
「なーるほど。アイツの膝を叩き割ったとはいえ、嬢ちゃんも女の子やんな」
「どうせわたしは、『一応女』です」
「そういう物言いは、可愛げないで」
「もともとありませんから、そんなもの」
「なんや? えらいつっかかるやんか」
「あっれェ? アンタ、もしかして……」
その声に、薫と張が振り向く。そこには、赤紫色のサテンのドレスに、皮の長靴を履いた鎌足がいた。
「やっぱり。珍しい場所に、珍しいヤツがいるもんねェ」
「人を珍獣みたいに言うなや」
「そう目クジラ立てないの。それにしてもアンタ、髪おろしたほうがいい男じゃない」
「いい男っちゅうのは、髪型になんか左右されへんもんや」
「あいかわらずねー、そのノリ」
「お前こそ、相変わらずやな。なんや、思ったより元気そうやないか」
「そうでもないわよ。まだ膝だって治り切ってないしさぁ。こんなブーツ履いた日には、歩くたびに膝頭に当たって痛……」
「そやそや。膝の特効薬、連れてきたで」
すいっと張が身体を左によけると、後ろから薫が現れる。唐突に話の中心に放り出された薫は、肩身が狭そうに頭を下げた。
「こ、こんばんは……」
居心地悪そうにもじもじとしている薫に、鎌足が目を丸くした。上から下まで薫を見まわすと、鎌足の声がひときわ高くなる。
「あらっ! あらあらあらあらあらあら!」
「あ、あの、お加減……いかがですか……」
「あっらー! あんなにオボコかったのに。オンナになったのねぇ、お嬢ちゃん!」
「ほお、そうなん?」
いかにも楽しそうな鎌足の声が、一瞬にして周りの人間の視線を集める。その後で、何を言われたかを理解した薫が、真っ赤になって鎌足の口をふさいだ。
「なななななな、なに言うんですか!! いきなり!!」
「あはははは! 真っ赤!」
「ほれほれ。素が出てるで、素が」
騒ぎを聞きつけて集まってきた女学生たちに気づくと、鎌足は高らかな笑い声をおさめて、余所行きの笑顔に戻った。きりっとした頼り甲斐のある鎌足の微笑みに、女学生仲間がきらきらとした目を向ける。その異様な空気に、張は思わずたじろいだ。
「な、なんや、お前ら……」
「本条さぁん! こんなところにいらっしゃたんですかぁ」
「外務卿がお話、聞きたがってましたよぉ」
「ご一緒しましょうよぅ!」
殺到する女学生一団の迫力に、張は息苦しささえ感じる。乱暴なところは微塵もないのに、張は力ずくで負かされたような敗北感を味わった。
「ごめんね、あとで行くから。さ、薫ちゃん、ちょっとこっちに……」
「本条さぁん、お友達ですかぁ?」
「んー……ちょっとワ・ケ・ア・リ」
ひらひらと手を振って、鎌足が去っていく。後には、意味深な鎌足の言葉の意味をめぐってきゃあきゃあと騒ぐ女学生たちと、げっそりとした張だけが残された。
「……も、目的は達したからな……ワイは、負けてへんで……!」
弱々しい笑みを浮かべながら、張は手元にあった焼酎を一気にあおった。

「あ、あの、いいんですか?」
「いいの、いいの。どうせあとでタップリ報告書、書かされるんだから。酒の席での立ち話なんて、忘れちゃうに決まってるんだしさ」
鎌足が薫を連れ出した廊下は、階下の場内とはうってかわってしんと静まり返っていた。鎌足は踊り場に備え付けられた一人掛けの椅子を薫にすすめると、壁に寄りかかって伸びをした。
「あの……椅子、どうぞ」
薫が鎌足に椅子を譲ろうと立ち上がる。理由を察した鎌足が、からからと笑った。
「やぁね、膝ならもうとっくに治ってるわよ」
「でも……」
「いいから。レディファーストよ」
「れでい……ふあ……? なんですか、それ?」
「西洋の作法。男はすべからく女を優先しろってコト」
「でも鎌足さんは……」
「男と女のいいところを寄せ集めたのが、オカマなのよ」
「は、はぁ……」
鎌足が、きゅっと片目をつぶってみせる。無理に反論することもあるまい、と薫は再び腰を下ろした。
「さて、あらためて。お久しぶりね」
「ええ。鎌足さんも、思ったよりお元気そうでなによりです」
「元気にもなるわ。志々雄様から特命を授かった以上、うじうじしてらんないしね」
「そ、そうですよね……」
それが張の方便だと知っている薫は、思わず口ごもる。目まで逸らしてしまったのは、剣心や弥彦や左之助からは感じ取ったことのない、直感めいた不思議な力を鎌足に感じたからだ。
「いいコね、あなた」
「へっ?」
何も言わずに、鎌足はただにっこりと笑った。
いったい彼女は、どこまで真実を知っているのだろう。もしかしたら、すべて分かっているうえで騙されたふりをしているだけなのかもしれない。見透かされているようで、薫は居心地が悪くなる。
「わたしの恋はかなわなかったけどさ。アンタのほうは順調みたいね」
鎌足が薫のほうへ、くりっと首を傾ける。答えに困った薫は、あいまいに笑ってみせた。
「あら。そうでもないって顔?」
「……どうなんでしょう。よく、わかりません」
「ヤることヤってんでしょ?」
「えっ……あのっ……それ……は……」
「隠すことないでしょ。愛し合う男と女なんだもの。それが自然よ」
「え……あ……」
頬を染めて、薫は複雑な顔をする。ふむ、と鎌足は腕を組んだ。
「けど、不安なわけね」
「…………」
「なんで? やさしくない?」
「やさしいです。……とても」
「じゃ、やさしすぎる?」
「……そうかもしれません」
腕を組んだまま、鎌足は壁に寄りかかる。見下ろした薫は、膝の上でフリルのついた前掛けを握り締めていた。
「カワイイわよ、あなた。女に厳しいオカマのあたしが言うんだから、間違いないわ。自信持ちなさいな」
「かわいくなんて……ないです……」
「どうして? 似合ってるわよ、その前掛けだって。そうそう居ないわよ、そういうフリフリ似合うコ」
「ありがとう……ございます……でも……」
「そうね。肝心な人に気づいてもらえなかったら、意味ないわよね」
「……はい」
「志々雄様の先輩ってくらいだから、三十ちかくでしょ?抜刀斎って。ニブいのねぇ、ずいぶん」
「そういう生き方をしてきた……ひとだから……」
「分からないじゃないけどね。こういう世界に身を置いている人間なら」
「ええ、だから……。待ってようと思ってます」
「欲がないわねェ。若い身空で」
「そんなこと……。ただ、いきなり何もかもって思うのは、欲張りすぎかなって……」
「ね、薫ちゃん」
ずいっと鎌足が薫に顔を近づけた。鎌足の瞳の奥に見えた光が、悪戯心なのかやさしさなのかは、薫には判断がつかない。
「そのカッコ見たってことは、来てるのよね? 今日?」
「剣心ですか? ええ、今日は厨房に……」
「よっし! まかせて!」
「え、えええええええ!?」
ずるずると引きずられるようにして、薫が鎌足に連行される。その力の強さに、彼女が間違いなく男であることを、薫ははじめて実感した。

「燕ちゃん! 割り下足りてないところに、注ぎ足したって!」
「は、はい!」
「弥彦くんっ! 十六卓にお銚子二本! 持ってって!」
「お、おう!」
「剣心さん! 熱燗六本、温めといて!」
「し、承知!」
薫がひとり抜けたことで、それまでぎりぎりの均衡を保っていた給仕の役割分担が崩壊した。妙の指示に、赤べこ従業員たちが慌しく会場と厨房を往復する。その過重に耐えかねたように、弥彦が叫んだ。
「ちっくしょう、薫のヤツ! どこで油売ってんだよ!」
「や、弥彦くん……! 会場に聞こえちゃうよ……!」
「わーってるよ! ったく薫のバカ、戻ってきたらタダじゃおか……」
小声で毒づきながら会場へ仕切りをくぐった弥彦が、動きを止める。つづいて仕切りをくぐろうとしていた燕は、弥彦の目の先にあるものに歓声をあげた。
「わぁ……きれい……!」
二人の目に飛び込んできたのは、洋装姿の薫だった。白地に黒の繊細な刺繍が入ったドレスは、ごく控えめに胸元から膝にむかって広がっている。裾は胸の下でいったん絞られているため、豊かな胸をよりいっそう強調していた。日ごろは着物の下に隠れている薄い肩と首筋の青さに、道場で見慣れているはずの弥彦でさえ息が詰まった。昼間、容赦なく竹刀を打ち込んだ白い足は、よく折れなかったものだと思うくらいに、細くすらりと伸びている。
「か……薫……なの……か……?」
目を見開いて、弥彦が自問自答する。服こそ見たことのないものを着ていたが、顔立ちや手足は、紛れもなく毎日見慣れた薫のそれだった。どういったからくりか、髪がふわふわとした巻き毛に変わっているものの、家からつけてきた白いリボンも確かに薫のものだ。
「あ、弥彦! 燕ちゃん!」
不安げにきょろきょろと周りを見回していた薫が、見つけた弥彦と燕のもとへ駆け寄ってくる。なれない靴でおぼつかない足が、膝丈の裾をふわふわと巻き上げて、弥彦を狼狽させた。
「ごめんね! すぐそっちに戻って手伝うか……わっ!」
絨毯に躓いた薫を支えたのは、すぐ隣に寄り添っていた若い男だった。男は優雅に薫の左手を取ると、右手で腰を支えて着地させた。
「ぅわぁ……!」
燕が思わずため息を漏らした。洋装姿の男と女が貴賓館で見せたその仕草は、彼女にとって物語の中の風景にほかならなかった。
「なっ、なんだお前……! 嫁入り前の若い女の肌にベタベタ触りやがっ……」
義憤に駆られて、弥彦が男と薫の間に割り込もうとする。が、耽美な見た目とは裏腹に、薫とその男の会話は、燕の憧れる物語とは程遠いものだった。
「や、やっぱりこの靴、大きいです……。かかとも高いし、歩きづらくって……」
「ドレスはなんとかなっても、靴ばっかりは仕方ないわよ」
「それに、胸、苦しいです……。肩も腕も落ち着かないし……」
「文句ばっかり言うんじゃないの。下は取れても上は生えないのよ、今の医療技術じゃ。それに、京都のときだって、肩も腕も丸出しだったじゃないの」
「それとこれとは話が……」
「違わないわよ。恋は女の戦場よ! 時にはすっぱだかになって闘わないといけないの!」
二人の会話を聞いていた弥彦の顔が、信じられないという表情に変わる。弥彦は目をしばたかせて、いま一度男と女を交互に観察する。その後で、恐る恐るたずねた。
「ひょっとしておまえ、あの十本刀の女男……」
「失礼なことをサラリと言う子ねー」
「や、やっぱそうか……!」
不機嫌そうに眉を吊り上げる洋装の男を、弥彦は震える手で指差す。よくよく見れば、服だけは洋男装になっているものの、確かにそれはかつて闘った女のような生き物だった。
「お前、その格好……」
「女同士で支えあうわけにいかないでしょ。苦肉の策よ。職業柄、衣装持ちなの、アタシ」
不本意そうに、男装姿の鎌足が両手を挙げる。ようやく事態を飲み込み始めた弥彦が、二人に尋ねた。
「そこまでして、なんでそんなカッコを……」
「そりゃもちろん、河馬よりニブい緋村剣心とやらの目を覚ますためにひと肌脱い……」
「弥彦、燕殿、燗が冷めてしまうでござ……」
「あ、あぁ、いま行……」
「薫殿、その格好……」
「あぁ、うん……か、借り物……だけど……。どうかな……剣心……」
「ああ、よいのではござらんか。燕殿、それ、下げるでござるよ」
「あ……はい……」
にっこりと笑うと、剣心は燕が持っていた皿を受け取って、するりと厨房へと引き下がった。仕切りの奥へ消えた剣心の背中が、薫の瞳にゆっくりと焼きついていく。
無言のままでいる薫に、鎌足はかける言葉を探す。十秒ほど考えた後で、結局まとまらない考えを言葉にすることができずに、喉から息だけが漏れ出した。
残された四人の間に降りていた沈黙を破ったのは、戻ってきた剣心だった。
「薫殿、肩が弱ると剣筋がぶれるでござるよ。冷やさないほうがいい」
微笑む剣心に上着を羽織らされると、薫は力なくうなずいた。
「ん、ありがと、剣心……」
「こちらは拙者や弥彦がなんとかするゆえ、薫殿は楽しんできたらよいでござるよ。普段なかなか会えない知己に会えたのだし」
「ありがとう。でも、もう戻るわ。妙さんに、これ以上迷惑かけられないし」
そう言う薫の笑顔は、不自然なくらい明るかった。
その笑顔に、弥彦はなにか声をかけるべきなのだと思う。剣心と薫は、普段となにひとつ変わらないやりとりをしているけれど。今ばかりは、なにか間に入って言うべきなのだと、そう思う。
けれど、どんな言葉がふさわしいのかは、見当もつかなかった。ああ、うう、と呻き声だけを出していた弥彦を、鎌足が遮った。
「戻るの?」
その声に、薫は驚く。先ほどまでの声とはうってかわって、低く落ち着いた男の声だった。驚きのあまり、ただこくこくとうなずくだけの薫に、鎌足はゆったりと笑いかける。
「そう。じゃあ、着てきた服は、厨房に届けさせるから」
「あ……はい……」
意味深に笑うと、鎌足は薫の右手を取って、すいっと持ち上げた。ただそれだけの仕草なのに、自分がやたらと大切に扱われている気がして、薫は頬が熱くなる。
「あ、あの……こ、これ……」
「あげる。よく似合ってるから」
目を細める鎌足の視線は、女にしては力強すぎるし、男にしては艶やかすぎた。正面からまともに見つめられた薫は、目の置き所を探して、そわそわと落ち着かなくなる。
「また近いうちに、会いに行く」
「え……あの……」
「そのときは、ゆっくり。二人で」
語尾を強調すると、その男はするりと人ごみに消えていった。

それから間もなくして、着てきた和服に戻った薫は、やはりいつもどおりで。だからこそ、弥彦は唐突に、理不尽に腹が立った。
薫の笑顔の後ろにあるものに気づかない剣心にも。そんな剣心に怒らない薫にも。そして、うまい台詞のひとつも思いつけなかった自分にも。

「めずらしいやっちゃな。お前がそんなカッコするなんて」
広間の隅で壁によりかかって、一人酒をすすっていた鎌足の隣に、張が酒瓶を持って現れた。鎌足は振り向きもせず、ただずいっとワイングラスだけを張に差し出した。
「んじゃ、再会を祝して、と」
鎌足のグラスにワインを注いだ後で、張は持参した自分のグラスを満たした。申し訳程度にグラスを持ち上げると、二人は同時にグラスに口をつけた。
「しゃんとしてりゃあ、たいした男前やないか。もったいないやっちゃ」
「まわりくどい話は結構よ。で、何の用なの? 恩赦されたとはいえ、わたしたちが会ったのバレたら、面倒なことになるわ」
「心配無用や。このことは警察公認やさかい。そうでもなきゃ、いくら明治政府がマヌケとはいえ、こんなところにワイがすんなり入り込めるかいな」
「案外、仕事熱心じゃないの」
「口やかましい目の上のタンコブがおるからな」
「そのタンコブがアタシになんの用?」
ささくれ立った物言いをする鎌足に、張は小さく肩をすくめた。こういうときは、本題を簡潔に話すのが一番だ。下手に軽口を混ぜると、相手の機嫌を損ねて、情報を引き出し損なうことになる。
「煉獄、覚えとるか?」
「そりゃね。沈んだって聞いたけど」
「あの物騒な船を上海から売って寄越したのが、抜刀斎の元弟やねん」
「もと?」
「幕末の頃、ちぃっとの間だけいた嫁の弟なんやて。元嫁は十五年も前に死んどる」
「それで上海に。人の恨みは買いたくないもんだわね」
「まったくや。で、その元弟と抜刀斎がドンパチやらかしてな。なんやかんやあって、めでたく抜刀斎とあの嬢ちゃんがまとまったわけや。それが、去年の秋ごろの話やな」
「ふぅん。その元弟がまたなんかヤンチャしたわけ?」
「いんや。弟のほうは、抜刀斎への恨みだけで生きてきたようなヤツやってん。私闘が終わったあと、抜け殻みたいになってもうてな。現在、絶賛行方不明中や。ついでに、そいつがアタマ張ってた組織の二番目もとっ捕まって、組織はほぼ壊滅。今は、残された雑魚どもが、ピーチクパーチク後釜狙って騒いどる」
「その火の粉が日本に飛んできてる、と」
興味がなさそうに、鎌足はちびりちびりとワインを舐めている。張はそこまで話すと、自分のグラスに半分残っていたワインをひと息であおった。
「せや。もともとヤツら、次の市場を東京に開こうとしとったからな。東京で最初に名をあげたモンが、次の大将を張るっちゅう流れになったらしい。俺らとは違ってな」
酒瓶から酒を注ぎ足しながら、張がちらりと鎌足に視線を送る。寂しげに笑う彼女は、それでもどこか満足そうだった。
「そうね……。志々雄様に代わるヤツなんて居なかったもの。わたしたちには」
「特にお前には、な」
グラスの中をぼんやりと見つめながら、鎌足はうなずいた。彼女の中で、いまだに志々雄への忠誠と恋心が健在なことを、張は理解する。
「で、ここからが本題や。組織がオシャカになっても、密輸経路だけは今もぴんしゃんしとるんや。誰かが道さえ作りゃあ、そこを歩くのはカンタンやからな。それを通って、なんやらヤバいモンがいま東京に向かって来てるらしい」
「ヤバいモノ?」
「ああ。出所が、どうやら上海の共同租界らしくてな。英国のやつらは頑として口を割らんが、ヤツら泡食って探しとる。話、聞いとるやろ?」
本題に入ったことを告げるように、張が目を細めた。それまでと変わらぬ仕草で日常会話を装いつつも、二人の間に探るような緊張感が生まれる。
鎌足が、値踏みするような視線で張を上から下まで眺める。手持ちの情報を話してよいものかどうか迷っている、そんな目だ。
査定されていることを悟った張は、『好きにしろ』とばかりに諸手をあげてみせた。数分そうした後で、鎌足が注意深く口を開いた。
「帰りに寄った港で、向こうの外務官どもが騒いでたわ。『上海で荷おろししたはずのモノが丸ごと消えた。手違いで、日本に送られている可能性がある』ってさ。アレで隠してるつもりだから笑っちゃうわね」
やれやれ、と鎌足はグラスを飲み干した。ねぎらうように、張が鎌足のグラスに最後の一滴を注ぎ足した。
「それで、不良兄弟の事情を知っているあんたと、洋行帰りで事情に明るいわたしに、白羽の矢が立ったわけね」
「そういうこっちゃ。犯罪者を信頼しすぎやで、この国は」
空になった瓶を、張は大儀そうに壁際に置く。瓶の口から垂れた雫が、つうと落ちて絨毯に小さなしみを作った。
「で。それと、あの娘とわたしを会わせた理由とは、どう関係があるの?」
「ガラの悪い弟から、中継地点の島にご招待されたことのある唯一の人間。それが、あのお嬢ちゃんでな」
「なるほど。そりゃ、派手な兄弟喧嘩にもなるわね」
広間の果てでせわしなく動き回る薫を、鎌足は眺めた。それから、もうここでの用は済んだとばかりに、壁から背を離した。
「アンタに言われなくても、また会う約束したわ」
「そうなんか?」
張の質問には答えず、鎌足はひらひらと後ろ手を振った。
「ほんと、男って余計なことばっかり」
その言葉は、きっと鎌足自身にも向けられているのだろう。ぬるくなったワインを舐めながら、張はそう思った。

動き回ったせいか、リボンでまとめた薫の髪からは、ぴょこぴょこと後れ毛が飛び出している。妙に差してもらった紅はほとんど落ちてしまっていたし、念入りにはたいた白粉も、汗でむらができていた。
鏡の前で、薫は笑ってみる。かえってきた笑顔は、情けないほど貧相で疲れていた。つい四時間ほど前に、瀟洒な洋館で垢抜けたドレスを着ていたなんて、到底信じられない。
それでも、手元に残った白いドレスと靴が、先ほどのできごとが幻ではないことを薫に告げている。薫は、足元の風呂敷包みからドレスを拾い上げて、寝巻きの上から身体にあてがってみる。
華やかで上等なドレスは、生活感あふれる薫の寝室には不似合いに白く輝いている。鏡の中にいるげんなりとした自分に似合うとは、とても思えない。洋館の明るい照明とは違う、行灯の頼りない明かりが、ゆらゆらと白い布に影を作った。
『よく似合ってる』なんて嘘っぱちだ。一番近くで薫を見ているはずの男でさえ、薫の変化に気づいてはくれなかった。
「薫殿、疲れたでござろう。布団を敷いた。もう休もう」
開いていた襖から、剣心が顔を出した。鏡の前で服をあわせていた自分が気恥ずかしくなって、薫は抱え込むようにしてドレスを隠した。
「あ、ありがと……! お化粧落として、すぐ行くわ!」
「薫殿、それ……」
「い、今しまおうと思ってたの! た、たたみ方が分からなくて、それで……」
「そうでござるか」
穏やかに笑う剣心が、なぜだか怒っているように思えて。薫は必死に話題を探す。もう一度ドレスを身体にあてがって、剣心にむかっておどけてみせた。
「あは……似合わないわよね、やっぱり……」
「いや」
剣心は相変わらず笑ったままだったけれど。奇妙な息苦しさを薫は感じる。
剣心との沈黙を気まずいと思うことなんて、滅多にないというのに。今このときに限って、沈黙は薫を恐れさせた。
「さ、さっきもね! 肩や腕は落ち着かないし、靴は歩きづらいしで……! やっぱりわたしには、いつもの格好が……」
まくし立てるように喋る薫の手から、剣心がドレスを抜き去った。そのまま衣桁にかけると、呆気にとられている薫の帯をひと息に取り去った。
「え……ちょっ……剣心……!」
途端にはだける寝巻きを、薫は反射的に直そうとする。が、襟に手が届く前に、今度は寝巻きそのものを剣心にはぎとられた。薫が驚きの声をあげる間もなく、剣心が薫を抱きしめる。
「どんな格好をしていても、薫殿は、薫殿でござるよ」
耳元でささやかれた剣心の言葉は、どこまでもやさしい受容の言葉のはずなのに。
着ているものなどに左右されずに愛してくれるという、喜ぶべき言葉のはずなのに。
小さく、深く、やわらかく、薫の胸に棘を突きたてる。いつもより性急な愛撫のせいかもしれない。
「んっ……! ね、剣心……むこうに……」
向かい合って薫を膝の上に乗せ、指と舌で乳房を貪っている剣心を、薫は見下ろす。薫の懇願を聞いて、剣心は顔を上げた。
一瞬だけ笑顔を作って薫を見上げた剣心は、すぐに先ほどより強い力で、左の乳頭に吸いついた。手を止めるつもりも、場所を移すつもりもないという意思のあらわれだ。
「ひぁぅっ……! ね……剣心……。わたしまだ、お化粧も髪も……やあっ!」
なおも食い下がる薫の膝を、剣心が両手で割る。膝にまたがらせている薫の秘部をあらわにすると、突き上げるようにして、薫の陰唇と陰核に亀頭を擦りつけた。
「んぁ……あはぁ……」
性器を熱源で直接撫でられると、薫の声が変わった。挿入りそうで挿入らないもどかしさと、肉が擦れるたびに響くちゅくちゅくというねばついた音は、薫に馴れ親しんだ快楽を思い出させる。
「自分でそんなに擦りつけて……」
薫の愛液が、てらてらと剣心の亀頭をぬめらせる。入口を叩かれるだけの薫の陰唇が、物欲しそうに閉じたり開いたりして剣心の陰茎を飲み込もうとする。
「剣しぃん……ね、もう……」
本能に取り込まれた薫が、とろんとした目で剣心に挿入をねだる。つい先ほどまで拒んでいた薫の淫らな変貌に、剣心はぞくぞくするほどの達成感に襲われる。
「ンッ……!」
「んぁあああ!」
薫の尻をわし掴んで、一気に引きずり下ろす。欲しかった刺激をようやく得た薫の膣が、きゅうきゅうと剣心を締めつけて歓迎した。
「ふぁ……はんっ……!」
より深く大きな挿入を得ようと、薫が剣心の膝で上下に身体をゆする。目の前で揺れる乳頭を捻ってやると、背をのけぞらせて薫が鳴いた。
「んぅうっ……! あ……剣心が……いっぱい……なかに……!」
深く浅く挿入を繰り返しながら、薫がさらに刺激を得ようと、剣心の陰毛に陰核をすりつける。繋ぎ目から漏れる愛液が白く濁ってきたことに、剣心はひそかに満足を得た。
夢中で動く薫を、剣心が少しずつ誘導して移動する。鏡台に薫の横顔が映る位置まで来ると、膝の上で動く薫と、鏡の中で同じように乱れている薫を交互に見比べて、剣心はひとりごちた。
「どんな姿より……このときが一番きれいだ……かおる……」
「え……」
快感に酔った顔で、薫が聞き返す。無言でいる剣心の視線の先をたどると、そこには淫猥に快楽をねだる、あられもない自分の姿が鏡に映っていた。
「やっ……!」
思わず顔を背けようとする薫を、剣心は抱きとめて固定する。そのまま剣心が下から無遠慮に突き上げると、薫は鳴きながら顔を両手で覆った。
「やっ……やぁあ……!」
「あ……締まる……! 薫……」
「見ないでっ……! 見ちゃ……いやぁ……」
顔を覆い隠したまま、いやいやと首を振る薫の耳元に、剣心はくちびるを寄せる。赤く染まった耳たぶを舐め上げると、薫が熱い息を吐いてぶるりと震えた。
「いや……。見る。ぜんぶ……っ……」
膝にまたがる薫の足をさらに広げて、剣心は下から薫を貫き続ける。
「らめっ……! 見えちゃう……だめぇ……!」
「駄目じゃない……! すべて見るっ……奥まで……ぜんぶ……! 俺だけっ……」
「……ぁっ……あはぁあああ!」
「はぁっ……!」
放出しながら剣心が見せた、満足そうな表情と不寛容な言葉は。薫へ、彼の不安と焦りをひかえめに伝えた。
薫にさえ我が儘になりきれない剣心の不器用さと、身についてしまったやさしさという病の深さ。それを残らずすくい取る術は、きっとどこにもありはしない。
引き抜いたとき流れ出た剣心の精液を、指ですくいながら、薫はぼんやりとそう思った。
ふいに目が合った鏡の中の自分は、ひどく冷めた目で狼狽していた。

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