14.有限奈落
歩くごとに、話すごとに、薫はよく笑った。笑顔に含まれているものが昨日より明らかに少ないことに、剣心は気づいている。隙間だらけの薫の笑い声は、...
るろうに剣心、フルメタル・パニック!、ガンダムSEEDなどの同人小説・漫画保管庫です。
歩くごとに、話すごとに、薫はよく笑った。笑顔に含まれているものが昨日より明らかに少ないことに、剣心は気づいている。隙間だらけの薫の笑い声は、...
「はい、本日はこれまで!」 「っりがとうっざっしたぁ!」 修練の終わりを告げた師範代と神前に、弥彦は一礼する。それが済むと、蹴り飛ばされ...
「うんうん。似合うで、薫ちゃん!」 「へへぇ、実は一回着てみたかったんです、コレ」 店で揃えた前掛けに身を包むと、薫はくるんとひとまわり...
「脇が甘いわ、もっと切っ先をよく見て!」 「おう! ……っぁんじゅうはちィッ! ……三十九っ!」 弥彦の拍子に合わせて、薫が竹刀を振り下...
肌寒さで目が覚めた。弥彦は、奇妙な足の痺れを感じて、足元を探る。どうやら、蹴り飛ばした掛け布団のうえに、一晩じゅう足を乗せていたらしい。足の...
深夜の倉庫街は、人の気配どころか猫の子一匹すら見当たらないほど静まり返っている。 『荷が日本へ到着するまで、もう時間がない』と言われれば、...
「……久しぶりね」 ようやく呼吸が整うと、薫は縁に話しかけた。肩で呼吸をしていた薫とは対照的に、縁は汗ひとつかいてはいなかった。倉庫の中で...
「お預かりしていたものは以上です。間違いはありませんか?」 「はい」 「では、ここに引き取りの署名を」 「はい。すみません、すっかり引...
薫が目覚めたとき、すでに陽はずいぶん高くなっていた。見知らぬ壁と天井が織り成す逆さまの世界に、薫はしばらくここがどこなのか分からなかった。転...
「それじゃ、またね! また京都にきてね、薫さん! ぜったいだよ!?」 「もちろん! 操ちゃんも、いろいろとありがとう」 「カカカ! 嬢ち...